
久しぶりに引っ張り出したゲームボーイの画面に、縦の黒い線や横の抜けが入っている——古い液晶機(初代やポケットなど)で見られる症状です。プレイ自体はできても気になりますし、状態が変わっていくこともあります。せっかくの思い出の一台なので、原因を見極めてから手をつけたいところです。
画面の線の原因として考えられるのは、「液晶とつながるケーブル部分の接触不良」「液晶パネル自体の劣化」「電池や温度などの影響」などです。縦線か横線か、線が動くか固定か、温度や姿勢で変わるかで、原因をある程度絞り込めます。やみくもに分解する前に、まず症状で切り分けるのが遠回りに見えて安全です。
ゲームボーイの画面に線が入るときの症状別の切り分け
同じ「線」でも、出方によって原因と直しやすさが違います。下の表で自分の症状がどれに近いかを確認してから、対処に進んでください。
| 症状 | 考えられる原因 | 難易度 |
|---|---|---|
| 縦の線が1〜数本固定で入る | 液晶の下のリボンケーブル部分の接触不良(iFixitの修理ガイドより) | 中 |
| 横の帯・抜けが入る | 同じくケーブルまわりの不具合のほか、液晶自体の損傷など | 中〜高 |
| 線が揺れる・温度で変わる | 接続部の状態、温度の影響(液晶は低温で反応が遅くなる) | 高 |
| 全体が薄い・濃淡が出る | 電池の消耗、液晶の経年や高温による劣化など | 電池交換→液晶交換 |
画面の線とシミを見分ける参考として、黒っぽいシミが見られる実機の写真を掲載します。下の写真には線は写っておらず、線の症状を示す例ではありません。シミについては、「ゲームボーイの画面に黒いシミが広がる原因と直し方」にまとめています。

縦線は液晶の下のリボンケーブル部分が疑われます
初代ゲームボーイの画面について、iFixitの修理ガイドは、よくある「縦線」の症状は、新しい画面に交換するよりも、元の画面を直すほうが簡単だと案内しています。線や帯を直す手順として、画面の下にあるリボンケーブルの部分にはんだごてを当てる方法が紹介されているため(電源を入れて作業する手順です。下の手順3を参照)、この部分の接触が疑われます。ただし、個体によって原因は異なる可能性があります。
横線・抜けも、液晶まわりの不具合が疑われます
横方向の帯や抜けも、液晶とケーブルまわりの不具合が考えられますが、難易度は上がります。線が温度や角度で変わる場合は、接続部の状態が変わりつつある可能性があります。自分で完全に直すのは難しいことがあります。
全体が薄い・濃淡は、電池や液晶の劣化が考えられます
線ではなく、全体がぼんやり薄い、濃淡のムラが出るといった症状は、電池の消耗の可能性もあります。任天堂の安全に関する注意書き(米国向け)には、電池が消耗すると、電源ランプが暗くなる、音が弱くなる、画面が何も映らなくなることがあると書かれています。電池を新しくしても変わらない場合は、液晶パネルの経年劣化が考えられます。同じ注意書きには、液晶は高温で劣化するともあります。清掃で戻らない場合は、液晶の交換が考えられます。
ゲームボーイの画面に線が入るときの対処手順(安全な順に)
手順1:電池と置き場所の温度を確認する
任天堂の安全に関する注意書き(米国向け)は、電池が消耗したら、電池をすべて新しいものに替えるよう案内しています。また、液晶は低温では反応が遅くなったり動かなくなったりすることがあり、高温では劣化するともされています。寒い場所から持ち込んだ直後などは、室温に戻してから、線の出方を見直してください。

写真は、協力者が持っている実機を、撮影と掲載の許可を得て載せています。
手順2:線の出方を観察する(画面は押さない)
線が縦か横か、固定か動くか、温度や姿勢で変わるかを観察します。任天堂の注意書きには、液晶は鋭いものや圧力で傷むことがあると書かれているため、画面を指で押して確かめるのは避けてください。
手順3:分解してリボンケーブル部分を確認する(上級者向け)
分解すると、任天堂の注意書きでは保証が無効になるとされています(なお、ゲームボーイ・ゲームボーイポケットとも任天堂の修理受付は終了しています)。iFixitによると、初代ゲームボーイは背面のY字(トライポイント)ネジ6本で止まっていて、そのうち2本は電池ボックスの中にあります。内部の基板側は十字ネジです。ゲームボーイポケットも、外側のネジにY字(Y1)のドライバーが必要とされています。工具はY字ドライバーセットのような専用ビットがあると、ネジ頭をなめずに開けられます。iFixitの「Game Boy Display Lines/Bars」のガイド(初代向け)には、線や帯を直す方法として、次の手順が書かれています。基板をケースから外したあと、電池を電池ボックスに戻し、基板をケーブルでつなぎ直して、画面の様子を見ながら作業します。コントラストのスライダーを最大にし、はんだごてを、画面の下のリボンケーブルの部分に軽く当てて動かします(画面そのものには触れないこと。ケーブルをゴムの帯が覆っていることがある、とも書かれています)。線の画素が出たり消えたりするのが見えてきて、画面が完全に真っ黒になるまで続ける、と書かれています。つまりこの方法は、電池を入れて電源を入れたまま、熱したこてを基板に当てる作業です。ショートや液晶の損傷のおそれがあるため、初心者には勧めません。この手順に進まず、海外の修理ガイドにこうした手順がある、と知っておくだけでも構いません。なお、ケースを開けるときと基板を外すときは、電池を抜いてから行ってください。
ゲームボーイの液晶パネル交換や、はんだごて補修は慎重に
初代の液晶パネル交換について、iFixitは、はんだ付けが必要な上級者向けの作業としています(ポケット向けのガイドは、特別な技術は不要としています)。配線を傷めたり、無理に剥がしてパネルを割ったりすると、元に戻せなくなります。手先に自信がないうちは、線が残っていてもプレイできるなら、無理に触らないという判断もあります。はんだごてを使う補修は、温度管理を誤ると周囲を傷めるため、初心者には勧めません。
ゲームボーイの線が消えないときの選択肢
補修で戻らない場合は、(1)互換液晶やバックライト改造キットへの換装、(2)修理を受け付けている専門業者への依頼、(3)状態の良い中古への買い替え、の三つが考えられます。任天堂の修理受付は、「修理の受付が終了した商品」にゲームボーイとゲームボーイポケットが含まれているため、(2)は民間の業者になります。思い出の個体を残したいなら換装、快適に遊びたいだけなら中古への買い替えが選択肢です。換装キットは、画面がきれいになる反面、加工が必要で難易度が高い点は理解しておきましょう。
ゲームボーイを扱うときの自己責任の注意点
- 分解や内部清掃は、自己責任です。任天堂の注意書きには、分解すると保証が無効になると書かれています。
- 液晶は、圧力や鋭いもので傷むことがあります。画面を強く押したり、硬いもので触れたりしないでください。
- 電池が液漏れしたときは、液が皮膚や目に付かないようにし、皮膚や衣類に付いたらよく洗い流すよう、任天堂の注意書きにあります。長く使わないときは、電池を抜いておくよう案内されています。腐食した端子は、素手で触らず手袋を使うなど、安全に配慮してください(記事側の助言です)。
- ACアダプターを使う場合は、そのゲームボーイに合った型のものを使ってください(任天堂の注意書き)。
- 静電気で基板が壊れることがあります。分解する場合は、作業前に金属に触れて放電してください。無理な力でこじ開けると、爪やコネクタが折れることがあります。
- 本記事は情報提供を目的としており、作業中の故障・破損・けがについて当方は一切の責任を負いません。最終判断はご自身の責任でお願いします。
ゲームボーイの画面の線についてのよくある質問
Q. 線は時間が経つと増えますか?
増えるかどうかは個体によって違い、確認できた資料はありません。状態が変わることもあるため、気になる場合は、早めに原因を確認しておくと安心です。
Q. バックライト改造のついでに直せますか?
液晶パネルごと交換する換装なら、元の液晶にあった線はなくなります。一方、元の液晶を使ったままバックライトを足すキットでは、線が残ることもあります。機種やキットによって異なるので、商品説明で確認してください。加工が必要で、難易度は高めです。
Q. 叩いたら直りました。このままで大丈夫?
一時的に接触が戻っただけの可能性があります。再発することもあるので、強い衝撃は避けてください。任天堂の注意書きにも、本体を落としたり叩いたりしないよう書かれています。
ゲームボーイの画面に線が入るときの確認順序まとめ
- まず縦線か横線か、温度や姿勢で変わるかを観察する(画面は押さない)
- 電池の消耗でも画面が暗くなる・映らなくなる。先に電池を確認
- 縦線・帯は、液晶の下のリボンケーブル部分が疑われる
- 全体が薄い・濃淡は、電池や液晶の劣化を疑い、交換か買い替え
- 分解する前は、必ず電池を抜く
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